top of page

What's CLAP? 
 Continuous Local Antibiotics Perfusion

群衆の拍手

新たな抗菌薬投与の選択肢

CLAP for everyone's smile 

intra-Medullary Antibiotics Perfusion iMAP

iSMAP final_2018.07.31 13.54.31.jpg

intra-Soft tissue Antibiotics Perfusion iSAP

 骨軟部感染症では、病巣部の骨や軟部組織は血流が悪く、経静脈的に投与された抗菌薬は移行しにくい環境にあります。手術により留置されたインプラントや、血流の悪い骨・軟部組織にはバイオフィルムが形成されやすく、一旦バイオフィルムを形成した骨軟部感染症を鎮静化するには、より高濃度の抗菌薬が必要となることがわかっています。

 抗菌薬を経静脈投与した場合にはバイオフィルムを破壊するだけの局所濃度を達成することは不可能であり、また抗菌薬の全身投与に伴う副作用も懸念されます。そのため、局所に必要な濃度の抗菌薬を持続投与(infusion)し、陰圧を用いて病巣部に抗菌薬を誘導、ドレナージ(drainage)することで、抗菌薬を局所で灌流='perfusion'させる経路を構築しました。この治療の概念をContinuous Local Antibiotics Perfusion(CLAP)と定義しています。これによって、目的とする場所に必要な濃度の抗菌薬を誘導可能となります。抗菌薬は局所からも僅かに血中へ移行しますが、適切に局所で灌流させることにより血中移行は最小限にすることが可能です。血中と排液中の抗菌薬濃度をモニタリングすることで安全性と有効性を確認しながら必要な期間治療を続けることができます。

 以前から報告されている抗菌薬を局所に循環させる方法として、Suction-irrigation systemがあります。これは、徹底的な掻爬をしたうえで、その死腔を洗い流す=irrigation ことが目的です。これに対して、徹底的な掻爬を避けて組織を温存しながら、抗菌薬を局所に移行させるCLAPは、抗菌薬のdrug deliveryの新たな形態とも考えられます。

​ それを具体的に実現する方法として、骨に対してはiMAP、軟部組織に対してはiSAPがあります。

臨床応用(clinical application)

✓ 骨折関連感染症 FRI: Fracture related infection

 骨接合後に感染をきたすとインプラント周囲に感染が及ぶので治療に難渋します。治療の目標は骨癒合を得ることですので、感染を制御しながらゴールを目指します、骨癒合が得られたらインプラントを抜去できるので感染制圧は容易になります。CLAPを併用することで、最適な内固定を維持しながら、骨癒合を目指す戦略を立てることができます。実例を交えながら、アルゴリズムに沿った治療を紹介します。

✓ 人工関節周囲感染 PJI: Periprosthetic joint infection 

 人工関節周囲感染はFRIと同様にインプラントに関連した感染ですが、治療の目標は安定したインプラントを残すことなので、FRIよりも厳密な感染制御が求められます。安定したインプラントはできるだけ温存(DAIR),緩んでしまったインプラントは再置換になります。どの選択肢でもCLAPを併用することで、成功率を上げたり、待機期間を短くしたり、再燃しても再鎮静化できたり、いろいろな局面で活用できるのではと考えます。

✓ 開放骨折 Open fractures

 開放骨折における感染コントロールは常に問題になります。CLAPを併用することで、できるだけ早く内固定を設置できます。CLAPは、感染の制御だけではなく、陰圧をかけてドレナージすることで、軟部の腫脹を減らし、血腫や滲出液による死腔を減らす効果も期待できます。適切な内固定により骨性の安定性を得ることが、軟部組織の修復にも有用でそれが結果的に感染を制御することになります。

✓ 慢性骨髄炎 Chronic Osteomyelitis

 慢性骨髄炎は、経過が長いもの、インプラントが入っているものなど状況がさまざまです。罹病期間が長ければ長いほど、感染部位が大きければ大きいほど、完全に菌を制圧することが難しくなります。しかし、感染を合併していても機能肢として使えていることもあります。CLAPによる治療介入は菌を完全に除去することよりも、菌と共存して機能してとして使えるようにすることを目指します。症状が乏しく困っていない場合は、治療の対象にはなりませんが、疼痛やADLの障害がでたり、滲出液や創部の状態が悪化したり、切迫骨折の症状がでたりした場合に、CLAPの介入するタイミングになります。                                   

 Copyright since 2019 by Orthoplastic trauma team at Steel Memorial Hirohata Hospital

2020.5.1 Harima-Himeji General Medical Center HGMC Orthoplastic trauma center​

Akihiro Maruo

  • Black Facebook Icon
  • Black LinkedIn Icon
bottom of page