N大学のT先生がCLAPを対象に当院に見学にいらっしゃいました。人工関節などの待機手術と違って、外傷や感染は予定できないので来てみないとわかりません。まあ2日もあれば、症例に出くわすでしょうとはいったものの、半信半疑で来姫。
しかし本当にやって来るもので、プレート固定後の深部感染。
骨髄炎とは思えない外観や、血液検査データでしたが、
「瘻孔がある。」
「術前に深部検体から嫌気性菌が検出」
「罹患骨にairが見られた」ので、骨髄炎と判断。
多くの急性期感染は軟部組織の感染ですが、慢性化するにつれて感染の首座は骨に移行します。瘻孔は骨髄炎の「噴火口」なのでそこにアプローチしても仕方なく、根本的には「マグマが溜まっている骨」にアプローチする必要があります。
感染を治すためには、罹患した骨を掻爬することが必要なのですが、そうすると、治療にかなりの時間がかかったり、結果的に感染が治っても歩けなくなったりします。
さて手術では、iMAP pinを罹患骨に刺したのですが、少しでもずれると膿はでてこないのでCTをまじまじと見ながら微調整するとやはり膿汁が流出。
瘻孔は骨と離れたところに位置するので、瘻孔周囲とiMAP pinの間を細いK-wireでブスブスと交通させたのちに、iMAP pinから生食で洗浄すると汚い膿汁が瘻孔から排出されました。K-wireの通路にはプレートからのスクリューが邪魔をしますが、うまくしならせながら誘導します。
このようにiMAP pinを立てるだけではなく、その後に経路を構築されていることを確認して、その経路で十分に洗浄。術後はその経路に抗菌薬を流し続けることを維持、管理することが重要です。洗浄を繰り返しているうちに次第に排液が透明になっていきました。これが確認できれば安心して手術を終える事ができます。回路の構築の方法、NPWTのほんとの役割など、キモとなるところを伝授することでストンと腑に落ちたようです。
RA肘の開放骨折に対して、CLAPで待機して一期的にplate argumentation + Total elbow arthroplasty
下腿髄内釘後の感染、高齢者、骨癒合はある程度えられているが、抜釘はまだしたくないレベル。菲薄化した皮質でインプラントを入れ替えるのも骨折のリスクあり。
なんとか髄内釘を残して、髄内をK-wireで通して経路を構築。
髄内釘、プレートの感染で手術の進め方も異なるので2つのパターンを見せることができてよかったです。
手術ももりだくさんでしたが、病棟にも興味のある症例がいっぱい。
3週間前の熱圧挫損傷の開放骨折。壊死がどこまで進むか読めないのですが、治療で最も重要なことは「骨を正確に戻して内固定を完遂すること」
初日にそれをやりきったので軟部の再建だけに集中できます。感染しないよう管理を行うと、じっくりと組織のviabilityを見極めることができます。当初皮弁も必要かと思われましたが、4週目で植皮を行う予定になりました。
その他術後の管理の方法など色々と参考になることはあったようです。
なかなか講演や学会会場などでは伝えきれないことが多いと痛感しました。
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